コラム : ニキビアトの赤味

この記事を編集した医師 : 保坂宗孝 |  最新アップデート 2023年1月1日

ニキビアト、その周りが赤く残ってしまうと、焦りますよね…。
でも大丈夫、じっくりと治していきましょー

ニキビアトの赤味は、

 

・毛細血管・炎症性物質が集中している状態(炎症後紅斑)

 

・表皮の菲薄化

 

・皮膚コラーゲンが必要以上に増殖して赤く盛り上がってる状態(肥厚性瘢痕の状態)

 

です。

左 : 炎症後紅斑、中 : 表皮の菲薄化、右 : 肥厚性瘢痕
左 : 炎症後紅斑、中 : 表皮の菲薄化、右 : 肥厚性瘢痕

どのように治療していけばいいのか、メカニズムを考えつつ治療プランを練ってみます。


<目次>

 

● 赤味が残る、3つのメカニズム

● 自宅でできる、3つの治療プラン

● クリニックで可能な


●赤味が残る、3つのメカニズム

 

メカニズム①

 

残念ながらニキビを生じると、周辺組織に炎症が拡大し、皮膚はダメージを受けます。

 

ダメージを受けた皮膚には、一時的に毛細血管が患部に集中・拡張するため、赤味を生じます。

 

また、皮膚が再生される過程で、毛細血管も新生されるため、赤味を生じることになります。

 

こうした症状は、本来、一時的なものです。毛細血管は徐々に収縮・退縮し、皮膚の赤味も元に戻ります。

 

ところが、炎症が長引くと、治った後も赤味が引かず、そのまま残ってしまう場合があるのです。

 

特に、炎症が真皮層以下の深い部分で発生すると、赤味が長引きやすく、人によっては症状が数年にわたって続くこともあります。

 

このように、炎症後に赤味が生じる症状は、”炎症後紅斑(えんしょうごこうはん)” と呼ばれています。

 

 

メカニズム②

 

ニキビの炎症が長引くと、表皮だけでなく、その下にある真皮や皮下組織にまでダメージが到達します。

 

真皮層の損傷が大きくなると、肌のハリや弾力のもとになるコラーゲンやエラスチンの産生量が減少し、表皮が薄くなる菲薄化(ひはくか)が起こります。

 

肌が痩せると、その下にある毛細血管が透けて見えるようになり、ニキビができた部分を中心に皮膚の赤みが目立つようになります。

 

 

メカニズム⓷

 

ニキビの炎症が長く続くと、破壊された組織を修復しようと、皮膚のコラーゲンが過剰に作られるようになります。

 

この結果、コリコリを硬く触れる、肥厚性瘢痕になってしまうことがあります。

自宅でできる、3つの治療プラン

プラン① 市販のニキビ薬を買う

 

繰り返しになりますが、ニキビアトの赤味は、炎症の長期化が原因です。

このため、抗炎症成分を配合したニキビ薬を使用すると、症状が軽減すると考えられます。

 

また、炎症を悪化させる原因となるアクネ菌の活性化を防ぐために、殺菌成分を配合した薬を使用するのも良いと考えられます。

 

市販薬に使用される抗炎症成分には、イブプロフェンピコノールやグリチルリチン酸ニカリウムなどが挙げられます。

殺菌成分にはレゾルシン、イソプロピルメチルフェノール、ベンゼトニウム塩化物、エタノールなどがあります。

 

ニキビ薬のパッケージ裏などをチェックすると、主な効果・効能が記載されていますので、抗炎症や殺菌に特化した薬を選ぶようにしましょう。

 

例えば、

ペアアクネクリーム

メンソレータムアクネス

 

などがオススメですよ。

プラン② スキンケアする

 

炎症が長引いてしまっている皮膚は、乾燥やバリア機能の低下が進んでいます。

 

しっかり洗顔・保湿して、保護することが大切です。

基本を頑張っていると、赤味は落ち着いていきます。

 

また、ニキビ肌の方は、毛穴に優しい成分を使いましょう。すなわち、ノンコメド商品がオススメです。

 

例えば、

NOV AC シリーズ

コラージュシリーズ

 

その他、ビタミンCを含んだ化粧水もオススメです。

 

例えば、

メラノCC

は人気ですよね。

プラン⓷ サプリメントを飲む

 

ビタミンC・コラーゲン・エラスチンなど、ニキビアトの赤味を軽減するのに役立つ栄養素を凝縮した美容サプリメントを摂取するのもひとつの方法です。

 

スキンケアと併用すれば、相乗効果が期待できます。

これまで化粧品だけでお手入れしてきた方は、この機会にサプリメントを使う習慣をつけてもよいでしょう。

● クリニックで可能な5つの治療プラン 

 

ここまで、自宅でできる、ニキビアトの赤味に対するセルフケア方法について紹介してきました。

 

しかし、赤味がひどい場合や、広範囲にわたっている場合は、自宅での対処に限界があります。

 

セルフケアを続けても改善が見られない場合、クリニックで専門的な治療を受けることをおすすめします。

 

それぞれ特徴が異なりますので、自分のニーズや症状に合った方法を選択しましょう。

 

ここでは、クリニックでできるニキビアトの赤味を消す方法をつご紹介します。

 

 

プラン① ドクターズコスメを買う

 

ゼオスキンやエンビロンが有名です。

洗顔・保湿・日焼け止めを基本として、ハイドロキノンやレチノール製品が主体となります。

 

こちらは、医師が診察した上で、製品を選択する流れとなります。

 

 

プラン②ケミカルピーリングする

 

肌表面の細胞を入れ替えると (ターンオーバーを促進させると)、古い角質が除去されるため、赤味を落ち着かせることができます。

 

ピーリング剤には、サリチル酸・乳酸・コラーゲンピールなどがあります。

 

 

プラン イオン導入する

 

イオン導入は、専用の機器を使ってイオン化した美容液を、皮膚の内部に浸透させる治療法です。

 

ケミカルピーリングとの相性は抜群です。

イオン導入を行うことで、より一層、美容液が浸透しやすくなります。

 

治療に用いられる美容液にはいろいろな種類がありますが、ニキビアト赤味には、ビタミンCを配合した美容液が有効です。

 

 

プラン④ 光治療する

 

赤味の原因は、毛細血管・炎症性物質 (ポルフィリン)。これらに焦点を当てたのが、フォトです。

 

フォトは、赤や黒などの色素に反応します。

周囲の皮膚組織にダメージを与えず、ピンポイントで赤味にアプローチできます。

 

また、一度に照射できる面積が広いので、赤味が広範囲にわたっている場合でも、短時間でケアできるところがメリットです。

 


プラン⑤ レーザー治療する


ロングパルスレーザー(532nm, 1064nm)は、抗炎症作用と創傷治癒促進作用があります。

このため、赤味を落ち着かせるだけでなく、ニキビ瘢痕予防効果もあります。


 

プラン⑥ ステロイド注射する

 

肥厚性瘢痕の状態を改善させるためには、ステロイドの力を必要とします。

 

薄めたステロイド液を注射すると、皮膚の盛り上がり(肥厚)や赤味が落ち着きます。

 

 

● 最後に

 

”ニキビアトの赤味って良くならない” なんて考える方も多いと思います。

 

改善しにくいことは事実ですが、時間をかけて治療すれば必ず改善できます。

 

ここで書いたことを参考にしてくれたら、嬉しいです。