コラム : マスクと皮膚

この記事を編集した医師 : 保坂宗孝 |  最新アップデート 2022年9月3日

コロナウイルスが流行する前、私生活でマスクを付けることは少なかった、と記憶しています。

 

しかし、今、マスク無しの生活は、考えられないものとなりました。

電車やバスの中で、マスクをしていないと、変な目で見られることもしばしばですよね。

 

一方で、マスクを着用すると、プラス面もあればマイナス面もあり、議論になってきました。

 

このページでは、マスク着用に関する話題を取り上げてみたいと思います。

 

最後まで読んでいただくと、 “マスクとは、どのように付き合っていけば良いのか” に関する疑問が解消されます。

 


<目次>

 

・マスクによる恩恵

・マスク着用に関する現状

・マスクによる弊害

・スキントラブルを回避するために


🌱 マスクによる恩恵

 

新型コロナウイルス感染症は、無症状が多いことが分かっています。しかも、発症前から飛沫感染を引き起こし、発症2日前の潜伏期間が最も感染力の強い時期と言われています。

 

アメリカ疾病予防管理センター (CDC) によると、マスク着用と感染予防効果の関係性は高い、とされています (1)

屋内の公共の場面でのマスク着用による、感染予防効果に関する調査結果
図1

このような背景からも、マスクの重要性は無視できなくなっています。

🌱 マスク着用に関する現状

 

2022年5月時点、日本では、"公共の場では、マスクを着用する"と9割が答えています。

厚生労働省の見解は(図2,3)、"マスクを着けておけば間違いない、安心”といった感じでしょうか。

 

マスク着用の考え方①
図2
マスク着用の考え方②
図3

しかし、海外に目を向けてみると、欧米では50% を切っています。

海外の映像を見ると、マスク無しで歩いている人が大半だったりします。

🌱 マスクによる弊害

 

マスクを着けていると、自律神経バランスが崩れ、脱水、口臭、スキントラブルを起こすことがあります。

 

問題なのは、

自分の中だけでは留まらず、皮膚表面(見えてしまう部分)にも現れることです。

 

ここからは、皮膚科的な観点から考えましょう。

マスク内の蒸れ・唾液・皮膚との摩擦から皮膚の常在細菌叢は崩れ、湿疹・赤味・炎症・落屑などを認めるようになります。

また、ニキビが出現することもあります。

 

ニキビは、フェイスラインや顎にみられることが多いです。おそらく、マスクのゴムが当たって摩擦を受け、汗などが溜まる結果でしょう。

 

 

🌱 スキントラブルを回避するために

 

当然、マスクを必要もしない場面 (運転中・自宅) では、極力外すようにしましょう。

 

その他、大切なことを列挙します。

 

1.マスク着用前後で、保湿ケアをしてください。

 

2.マスクを緩く調整すると、皮膚と擦れて微細なキズを作ってしまいます。鼻と口が覆われる様、適度にフィットさせましょう。

 

3.マスクには皮脂、汗、唾液、粘液などが付着します。非刺激性石鹸を用いて洗浄し、乾燥させましょう。洗剤や柔軟剤で、かぶれてしまうこともあるため、要注意です。

 

4.異なる種類のマスクを試しましょう。

ウイルスを通さず肌に優しいマスクは、綿素材またはポリエステル素材。世の中には、ホルムアルデヒド加工してあるマスクもあるため、要注意です!

 

5.困った時には、必ず皮膚科を受診しましょう。