コラム : 抜糸について

この記事を編集した医師 : 保坂宗孝 |  最新アップデート 2022年8月13日

キズを縫われたら、考えなければならないことは何でしょうか?

 

術後の処置はもちろんですが、それは抜糸です。

抜糸も奥が深いため、解説していきます。


目次

 

・一般的な事実として

・何故、抜糸しなければならないのか?

・抜糸のタイミングを決めるポイント3

・足指切断後、キズが開いてしまったケース

・反省を活かして


 🌱一般的な事実として

 

外から見える部位にある糸は、基本的に抜糸する必要があります。

これは、糸が溶ける、溶けないは関係ありません。

 

口の中の糸は溶ける糸で縫いますが、自然に外れるまで放置していることが殆どです。

🌱何故、抜糸しなければならないのか?

 

外縫いの糸は、感染しにくいタイプを用いますが、異物であることは間違いないのです。

抜糸をしないと、感染を起こしたり、針穴アトが目立ってしまいます(1)

患者さんによく質問されるのは、「いつ抜糸するのか?」です。

 

再発部位・関節部位・糖尿病・ステロイド内服中などでは、縫合後2-3週間とすることが多いです。

顔など目立つ部位では、縫合後1週間以内に行うことが多いです。 

他、一般的には縫合後1-2週間で行います。

 

ここで、抜糸時のポイント3つをまとめておきます。

 

 

🌱 抜糸のタイミングを決めるポイント3

 

基礎疾患があるか?

よく動かす部位か?

目立つ部位か?

 

をよく考えて、ベストなタイミングで抜糸する必要があります。

 

タイミングを間違えると、キズアトの経過が不良となってしまいます。

以下、私の経験したケースを取り上げて考えてみましょう。

 

 

🌱足指切断後、キズが開いてしまったケース

 

75歳女性、既往に糖尿病・閉塞性動脈硬化症。

足指が壊死したため、切断に至りました。

切断後は感染や血腫形成はなく、経過良好でした。

 

しかし、1週間で抜糸した後、キズアトが不安定になり感染を起こしてしまいました。

 

このケースでは、本来ならば、3週間程度空けて抜糸するべきでした。

 

 

🌱反省を活かして

 

抜糸した直後、創部はすごく不安定です。このため、キズアトのテーピング固定はとても大切な作業となります。

 

抜糸に関しては、医師にしっかりと確認するようにしたいですね。