このページでは、皮膚がダメージを受けた後にみられる、大切なメカニズムについて取り上げます。
今回のテーマは、
キズが治る最終過程である、表皮化。
表皮化を起こすためには、その源が必要なのですが、何でしょうか?
主な源は、分裂能力を有する基底細胞です。
表皮と真皮の境にある基底細胞だけではなく、毛嚢壁・汗腺・皮脂腺の壁にも存在します(図1)。
ここからは、表皮化の観点から、キズについて考えてみましょう。
🌱治りやすいキズとは?
ズバリ、治りやすいキズとは、
"表皮化の源が残っているキズ" となります。
つまり、
・浅く、ダメージの少ないキズ
・縫い縮められて、表皮で覆われてるキズ
です (図2)。
これらのケースでは、表皮化の源により、サクサクと表皮化が進みます。
一方、治りにくいキズとは、どのようなキズでしょうか?
🌱 治りにくいキズとは?
ズバリ、"表皮化の源がダメージ受けてるキズ"です。
例えば、褥瘡や糖尿病潰瘍など(図3)です。
この場合には、良性肉芽で覆われた後、肉芽が表皮で覆われないと、治癒には至りません。
なお、治癒が促進されるためには、感染が落ち着いている必要があります。
よかったら、以下の記事を参考にしてください
ここまで読んでいただけたら、表皮化の重要性を理解いただけたか、と思います。
それでは、1番大切な、
"表皮化を有利に進めていくためには?"
を考えてみます。
🌱誰でもできる!表皮化を進めるポイント2つ
①キズを湿潤状態に保つ(乾かさない)
②感染予防する
とても簡単なことですが、徹底できてない方が多い印象です。
具体的に解説しましょう♪
🌱 キズを湿潤状態に保つ
"表皮化の源" が育ちやすい環境とは、湿潤状態です。
湿潤状態だと、"表皮化の源"に栄養を与えることができるイメージです。
カサブタを作ってしまわないように、塗り薬や貼付剤を用います。
🌱 感染予防する
また、キズを綺麗に保つと、 "表皮化の源" に対するダメージを最小限に抑えられます。
感染を引き起こさないように、キズのチェックはこまめに行い、毎日洗浄を行います。
🌱 なかなか治らない時には....
ぜひ、病院を受診しましょう。
プロスタンジン軟膏やフィブラストスプレー (図4) を用いると、肉芽増生や上皮化が進みます。
🌱最後に
わずかな心がけにより、表皮化は順調に進んでくれます。簡単にまとめると、 "キズは綺麗に、湿潤に保つ" ことがポイントです。