病気と治療:粉瘤

この記事を編集した医師 : 保坂宗孝 |  最新アップデート 2022年12月29日

粉瘤(アテローマ)とは
毛孔の組織が皮膚の深いところに入り込み、袋状に発達し、アカが内部に蓄積する病気です。
皮膚の良性腫瘍として最も良くみられています。
video 粉瘤ができるまで では、粉瘤のでき方について分かりやすく解説しています!
見て触れば分かる?
よくある訴えとして「シコリを押したら臭い、カスみたいなのが出てきた」「大きくなったり小さくなったり、痛くなることもある」があります。さらに、超音波でみると、腫瘍は特徴的な画像を呈し、診断することができます(図1)。しかし、小さいタイプでは、ニキビとの区別がつきにくいです。
粉瘤の構造 粉瘤の超音波所見
図1 : (左)粉瘤とは図のような構造をしています。嚢腫の中に角質や皮脂を溜め込み、開口部で外と連絡しています。(右) 超音波の所見です、粉瘤自体は黒っぽく映ります。
6つのステージに分けられる (図2)
ステージ0は正常とします。ステージ1では、袋を作り、垢が溜まっています。ステージ2では、袋内に感染を起こし、赤く腫れ上がっています。ステージ3では、感染が一旦良くなり、腫れが引いています。ステージ4では、再び感染を起こし、赤く腫れ上がっています。時に、自然に垢や膿が流出してきます。ステージ5では、感染を繰り返した結果、皮膚の色が茶色っポンく変色し、硬く触れるようになります。
粉瘤のステージ分類についての画像
図2 : 粉瘤の状態は、6つのステージに分類できます。
いつ受診するべきか?
手術はどのタイミングでしたらよいのでしょうか?ステージに分けて考えてみます。感染を繰り返した結果、袋がこびりついてしまうと、綺麗に袋を剥がしとることが難しくなります。よって、手術はステージ3までに行うことをお勧めしています。 
しかし、現実的には自己判断できないことが多いと思います。悩まずにご相談くださいね。
手術法 
くり抜き法・切除法の2つがあります。
くり抜き法では、必要最低限に皮膚を切除し、嚢とアカを取り出すことができます。
切除法では、皮膚を紡錘形に切除し、嚢腫を摘出することができます。
どちらの方法を取るかについては、直接ご相談させていただきます。

 <症例>

手術後について

     

経過は、くり抜き・切除で異なります。

くり抜きでも、切除と同様に縫合閉鎖できれば、術後1-2週間で抜糸して終了です。

くり抜いた後、部分縫合またら未縫合の場合、以下のような感じで上皮化を待つ感じです。


切除部は空洞化。同部が肉芽で充填され、上皮化する。
切除部は空洞化。同部が肉芽で充填され、上皮化する。


手術後のケアについては口頭で説明するようにしていますが、不明点があればこちら ▶︎ 手術後のケア をご参照ください。

 

再発について

 

リスクとしては有り得る再発…😭 その原因をまとめ、対策を解説していきます。

 

3つの原因

① 皮膚開口部の取り残し

② 粉瘤”袋”の取り残し

③ 実は悪性腫瘍

 

それぞれの対策

① 粉瘤には皮膚開口部が存在し、”ヘソ”とも呼ばれます。残念ながら、ヘソの分かりにくいケース・実はヘソが複数存在したケースなどがみられ、取り残す1つの要因となっています。再発した場合には、やや大きめに皮膚切除するようにします。

②粉瘤は、袋状に発達した組織にアカが溜まる病気です。特に、一度感染を起こした場合には、癒着の強い(へばりついた) ”袋”となるため、取り残す1つの要因となっています。再発した場合には、炎症を落ち着かせた後に再切除するようにします。

③保険手術では、原則病理検査に提出するために悪性を見逃すことは少ないです。しかし、自費ではそうとは限りません。再発を繰り返す様であれば、病理検査に提出するようにします。



Q/A 


Q1 : 粉瘤は、癌になりますか?

A1 : 癌化するリスクは低く、0.01%といった世界。てまも、炎症性の粉瘤が悪性化した報告があります。やはり、60歳以上で、急速に症状進む場合には、要注意だと思います。

病理検査に出すことで、良悪性を判断できます。