コラム : 精神科でのスキントラブル

この記事を編集した医師 : 保坂宗孝 |  最新アップデート 2022年8月4日
このページでは、あまり知られていない、"精神科におけるスキントラブル"について取り上げます。
はじめに
 
精神科病棟では、患者が精神運動興奮や不穏などを呈した場合、止むを得ずに身体的拘束を行います。
 
近年では、高齢者も多く、認知症や老年精神病では、長期になることもあります。
 
長期臥床による褥瘡、拘束帯による皮下血腫、微小血栓によるブルー・トー・シンドロームをよく認めます。
 
精神状態に応じ、身体的拘束は最小限となるように努めますが、厳しい現実的があります。
 

理由として、

自身で体位変換してくれないことが多いため

処置やリハビリへの拒否が強いため

などがあります。

 
その他、精神薬による薬疹は、非常に多く認められています。
 
精神科で多く認めるスキントラブル
精神科で多く認めるスキントラブル
気づきが大切
 
精神科の患者では、指示が入らず、自身で体位変換してくれないことも。
また、向精神薬で鎮静された患者・皮膚が脆弱な高齢者が大半のため、自身の症状を正確に訴えることができないケースが多いです。
放置すると、あっという間に悪化するため、医療スタッフによる気づきが大切です。 
糖尿病や高脂血症などの基礎疾患があると、より起きやすくなります。
また、皮下血腫は数日後からみられることもあります。
 
とにかく予防が大切
 
患者の皮膚をこまめに観察することは、もちろんです。
また、向精神薬を控えめに投与する上で、予防が大切です。
 
何といっても 
 
・基礎疾患のコントロール
・"こまめな保湿" !
 
に尽きると考えています。