コラム : キレイなキズを作るために

この記事を編集した医師 : 保坂宗孝 |  最新アップデート 2022年8月7日

「ケガをしてキズを作ってしまった

「腕や顔にヤケドを負ってしまった

最初は、不安や焦りを持つことが普通です。

 

しかし、一旦キズの状態が落ち着いてしまうと、キズのことばかり考えていられないのが現実ではないでしょうか?

 

醜いキズアトで悩みたくないですよね。

 

この記事では、ある少年のストーリーを取り上げ、最低限のキズアトケアについて考えてみようと思います。

 

 

とある少年のキズストーリー

 

①一つ目。小学生時、自転車に乗っていた時。
塀に膝を擦らせ、パックリキズを作り、A大学病院を受診。
形成外来の処置室に通されたものの、恐怖で大泣き。本来ならば10分で終わるのに、3時間くらいかかって縫合してもらいました。
キズアトは白く抜け、やや目立っています。
 
②二つ目。仕事終わり。
駐輪場の角に額をぶつけてパックリ。
翌日、先輩に縫ってもらいました。
キズアトは、ほとんど目立ちません。
 
①②共に10年以上前のキズアトですが、全然違います (図1)。
図1 : とある少年のキズアト ①膝 ②前額
図1 : とある少年のキズアト ①膝 ②前額

さて、キズアトは3つに種別できるのですが、知ってますか?

 

キズアト3種類を解説

 

キズアトは、色の違いにより白・黒・赤で種別できます(2)

 

⚪️白っぽいキズアト

正常なメラノサイトが存在する皮膚が再生されず、つまり線維に置き換わると、メラニン色素が少ないため、キズは白っぽく見えます。

 

⚫️黒っぽいキズアト

長引く炎症や紫外線によりメラノサイトが活性化されると、メラニン色素が過剰に作られ、キズは黒っぽく見えます。

 

🔴赤っぽいキズアト

キズの治りが悪い、つまり炎症が長引くと、キズは赤っぽく見えます。また、多くの場合、線維細胞が過剰に産生され、盛り上がってみえます。

 

 

ここで、とある少年のキズアトを振り返ってみましょう。

図2 : 左 : 白いキズアト 中: 黒いキズアト 右 : 赤いキズアト
図2 : 左 : 白いキズアト 中: 黒いキズアト 右 : 赤いキズアト

とある少年のキズアトを振り返る

 

1で示した、とある少年のキズアト①②、覚えていますか?

 

は、白っぽい、幅のあるキズアト 

は、目立たないキズアト

です。

 

は、ケガした際に汚染あり、縫合も丁寧に縫う余裕がありませんでした。

このため、メラノサイトへのダメージが大きく、白っぽいキズになったと思われます。

 

一方、

は、ケガした際の汚染が軽く、丁寧に縫い合わせることができました。

このため、メラノサイトへのダメージは少なく、目立たないキズになったと思われます。

 

 

最後に本題。

少年のキズストーリーを受けて、最低限のキズアトケアについて考えてみたいと思います。

 

 

 

 

キレイなキズアトを作るためのポイント4つ

 

A.痛いけど、キズをキレイに洗い、キレイを保つこと

 

B.キズをキレイに縫合してもらうこと(医師)

 

C.縫合後、乾くまではキズをキレイに保つこと(湿潤環境)

 

D.乾いたら、日焼け止め、テープ保護すること(紫外線避け)

 

※ケガしたらAはすぐに、Bは翌日でも構いません。Cも含め、キレイを保つことが大切です。
キズの周りの組織にダメージを与えると、醜いキズ跡が出来上がってしまいます。
 
キズアトが心配な方へ も参考にしてください!