この記事を編集した医師 : 保坂宗孝 | 最新アップデート 2022年8月22日
このページでは、ニキビについて徹底解説していきます。
ニキビの対応は、新生ニキビとニキビアトに分けると、理解しやすいと思います。
ニキビの概要に触れた後、ニキビの治療法を重点的に述べていきます。
よかったら、最後まで読んでくださいね。
<目次>
・ニキビとは?
・ニキビが出来るまで
・メカニズムから考える、新生ニキビケア
・ニキビケアをしても…
・凹んだニキビアトは難治性
・ホームケアの流れ
・【Q/A】
🌱ニキビ(尋常性痤瘡)とは?
前額部(おでこ)、頬、口の周り、下顎などにできる発疹をさします。
思春期から青年期によくみられ、胸や背中の中心部などにできることもあります。
ニキビ新成には、年齢や生活習慣が大きく関与しています。
思春期には、ホルモンバランスが崩れるため、角質が肥厚し易く、皮脂の分泌が亢進しています。
女性の場合には、低容量ピルが必要なこともあります。
また、悪い影響を与える要因として、食事・睡眠不足・誤ったスキンケア・生理・ストレス・タバコなどがあります。
🌱ニキビが出来るまで (図1)
step1 紫外線・ホルモンバランスの乱れ・乱れたライフスタイル・油分の多いスキンケア・メイク汚れにより、皮膚のターンオーバーが乱れると、毛穴周りの角質が厚くなります。
step2 毛穴が塞がります。
step3 皮脂が毛穴に詰まります。皮脂が盛り上がると、白ニキビとなります。
step4 皮脂を栄養分としてアクネ菌・カビ(真菌)・細菌が繁殖し、炎症が起き、赤く腫れます。痛みや膿を伴う場合もあります。赤ニキビとなります。
step5 炎症や感染が長引くと、皮膚にダメージが加わり、ニキビ跡となってしまいます。
続いて、治療について考えていきましょう。
通常は、保険診療に適応のある、薬物治療が行われます。しかし、実際には、保険診療やガイドライン上の標準治療のみでは改善が乏しい例が存在します。
参照 ▶︎ 尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017
以下、詳しく解説していきます。
🌱メカニズムから考える、新生ニキビケア
●皮膚の汚れをしっかり落とす
肌に付いた角質・汗・皮脂・ほこりを落とすことは重要です。また、毛穴ケア・菌が繁殖しにくい環境作りも大切です。
a.メイク落としは、オイルタイプまたはジェルタイプがオススメです。洗顔料は、皮脂を取りすぎない適度な洗浄力をもち、泡立ちのよい洗顔料を選びましょう。いづれも、ノンコメドジェニックテスト済みで、アクネ菌の栄養源になりにくい成分を使用しているものがおすすめです。
b.ケミカルピーリングは、毛包漏斗部の角化異常による閉塞除去、膿疱の排出作用、抗炎症作用、膠原繊維増生作用などを有します。
c.PRX-T33という薬剤を用いる マッサージピールは、真皮深層に働きかけ、ターンオーバーを促進させます。
d.ハイドラフェイシャルは、美容成分を含んだジェット水流で、通常の洗顔ではなかなか落とせない毛穴の皮脂や汚れを洗い流すピーリングマシンです。
e.イオン導入は、真皮深層に働きかけ、ターンオーバーを促進させます。
f.ダーマペンは、皮膚に微細な穴を開けるため、化粧水が浸透しやすくなり、汚れも落ちやすくなります。
●角質肥厚を防ぐ
たっぷりの化粧水で保湿し、乳液やクリームで油分を補給します。これが角質肥厚を予防するための重要なポイントです。
イオン導入すると、保湿力が大幅にアップし、角質肥厚も防げます。
●感染による炎症を防ぐ、鎮める
スキンケアによる、菌が繁殖しにくい環境作りが最も大切です。しかし、赤ニキビを生じた場合、皮膚科を受診し、抗生剤入り軟膏や内服抗生剤を用いましょう。
●紫外線を防ぐ
ニキビがある状態で紫外線を浴びると、炎症が悪化してしまいます。日傘や帽子を用いて紫外線を避け、UVケアできる下地や日焼け止めを塗布しましょう。
🌱ニキビケアをしても…
さて、どんなにケアを頑張っても、出来てしまうニキビアト。
次に、ニキビアトについて詳しく書いていきます。
ニキビアトには、
・コラーゲンが過剰になって出来る肥厚性瘢痕
・コラーゲンが過剰になって出来るケロイド
・コラーゲンが少なくなって出来る凹み
の3つがあります(図2)。
簡単に言うと、盛り上がったタイプと凹んだタイプに分けることが出来ます。
盛り上がったタイプでは、ステロイドの軟膏や注射を行うと、一定の効果を得ることができます。
一方、凹んだタイプでは、結果を求めるには苦労を要します。
🌱 凹んだニキビアトは難治性
ニキビアトの凹みには3種類あります(図3)。
・見た目の直径2mm未満で、鉛筆の芯みたいに先細りするice pick type
・見た目の直径4mm以上で、半円形に見える rolling type
・見た目だけ直径1-4mmで、箱型のboxcar type
それぞれのタイプにどんな治療が良いのか、というと
・ダーマペンは、rolling, boxcar type に有用です。
・くり抜きは、特にice pick type に有用です。
・全てのtype に有用な施術は以下
フラクショナルレーザー
ケミカルピーリング
サブシジョン
「ニキビによる赤味を、治したい」というご相談は多く受けますが、フォトフェイシャルが有用です。
最後に、ホームケアの流れをまとめましょう。
🌱ホームケアの流れ
<朝のケア>
①洗顔フォームを手で泡立て洗顔します。擦らないのがポイントです。
②化粧水(ローションタイプ)を手のひら全体で押さえるようにして馴染ませます。
③保湿ジェル、クリームを軽くのばすように馴染ませます。
④ニキビの薬(ディフェリンゲル、アクアチムクリームなど)の塗布
⑤日焼け止めの塗布
⑥女性の場合、下地・ファンデーション・ポイントメーク。
下地:UVカットできるもの、ファンデーション:油分の少ないパウダータイプがオススメ。
<夜のケア>
⑦女性の場合、メイク落とし。らせんを描くようにメイクとなじませ、ぬるま湯で洗い流します。
⑧ ②③④と同じ
【Q/A】
Q1 : 潰れてしまったニキビには、何を塗ったらよいですか?
A1 : おそらく赤ニキビの状態だと思います。
ダラシン・アクアチム・べピオなどが良いと思います。
必ず、皮膚科専門医を受診して、処方してもらってくださいね。
その他、漢方やビタミン内服、スキンケアの見直しなど必要ですよ!