この記事を編集した医師 : 保坂宗孝 | 最新アップデート 2023年1月2日
はじめに
ボトックスは、シワや輪郭形成の治療として使用されます。
表情筋(表情を作る筋肉)を和らげるのでシワの改善
筋線維のボリュームを減少させるので顔面形態(フェイスライン)の改善
筋線維の動きを止めるので悪癖の改善
を実感できます。
また、毛孔縮小・皮膚テキスチャーの改善も実感できます。
安全かつ短時間で、効果の高い治療法となっています。
効果持続期間は約半年ですが、繰り返し注入することで対応できますし、後戻りできる利点もあります。
以下、顔面を3つの領域(上顔面・中顔面・下顔面) に分けて詳説していきます(図1)。
<上顔面•おでこ> (図2)
◯オススメの方
•眼瞼下垂は無いが、眉毛を挙げ、無意識におでこのシワを作る癖のある方
•おでこのシワがうっすら刻まれかけていて、ツルツルにしたい方
◯オススメしにくい方
•眼瞼下垂の方。おでこの筋肉(前頭筋)によって、瞼を持ち上げる補助がされています。ボトックスを打つと、瞼が重く感じやすくなります。
•眉毛下垂の方。ボトックスを打つと、おでこの筋肉(前頭筋)の緊張が取れ、眉毛の位置が下がってしまいます。眉毛内側の下垂では眉毛リフト、眉毛外側の下垂ではスレッドリフトをオススメします。
•おでこのシワが深い方。ヒアルロン酸注入やスレッドリフトをオススメします。
◯ご注意いただきたいこと
おでこの筋肉(前頭筋)の緊張が部分的に強い方では、軽度に眉毛が吊り上がった印象となることが稀にあります(スポック現象)。この場合、緊張の強い部分にボトックスを注入し、修正することが可能です。
<上顔面•眉間> (図3)
◯オススメの方
•悩み事が多い、視力が悪い、育児などのストレスのため、眉間に力が入ってる方
•写真を撮る際、つい眉間に力が入ってしまう方
◯オススメしにくい方
•眉間のシワが深い方、ヒアルロン酸注入やスレッドリフトをオススメします。
•役者や営業職のため、表情で感情を出したい方
◯ご注意いただきたいこと
おでこの筋肉(前頭筋)の緊張が部分的に強い方では、軽度に眉毛が吊り上がった印象となることが稀にあります(スポック現象)。この場合、緊張の強い部分にボトックスを注入し、修正することが可能です。
<中顔面•目尻> (図4)
◯オススメの方
•笑ったり眼を開いた時、目尻にシワができる方
•たれ目を作りたい方(完成度は、個人差大きいです)
◯オススメしにくい方
・目尻のシワが深い方、ヒアルロン酸注入やスレッドリフトをオススメします。
◯ご注意いただきたいこと
注入量が多いと、笑った時に引きつった状態になったり、皮下出血のリスクが高まります。このため、適量で浅めに打つようにしています。
<中顔面•鼻> (図5)
◯オススメの方
•笑う時に顔をクチャっとさせると、鼻の上に出来るシワが出る方
•笑った時に鼻先が下方に垂れ下がる動きがある方
•笑うと、小鼻が広がり鼻の孔が大きく見えてしまう方
◯オススメしにくい方
•表情と関係なく小鼻が気になる方。脂肪融解注射(BNLS)が有効なことが多いです。
•鼻のシワが深い方、ヒアルロン酸注入をオススメします。
◯ご注意いただきたいこと
注入量や部位により、思わぬ場所にシワが出ることがあります。このため、適度な量・部位に打ちます。
<下顔面•口唇> (図6)
◯オススメの方
•口をすぼめた際、シワが気になる方
◯オススメしにくい方
赤唇縁から鼻柱までの距離が長い方、唇が薄い方。この場合、ヒアルロン酸注入をオススメします。
◯ご注意いただきたいこと
注入量や部位により、口の動きに不都合が出ることがあります。このため、適度な量・部位に打ちます。
<下顔面•口角> (図7)
◯オススメの方
口角が下がっている方
◯ご注意いただきたいこと
注入量により口の動きに不都合を生じることがあります。このため、控えめな注入を心がけています。効果が乏しい場合には、ヒアルロン酸注入を併用します。
<下顔面•エラ> (図8)
◯オススメの方
ズレた噛み合わせ・ストレスによる食いしばりが原因で、エラの張りが気になる方
◯オススメしにくい方
エラ骨が張っている方。骨切りが必要となります。
◯ リスク
・パラドキシカルバルジング
施術から間もない、噛み締めた時の、元の状態よりも咬筋一部の膨らみが目立つ現象。
ボトックスの効きの弱い部分の筋肉が、代償的に強く収縮するために生じます。
注入後2週間経っても改善しない場合には、追加注入します。
・たるみ、頬コケ
咬筋が萎縮することによって、jowlのたるみ、頬骨弓下の凹みが目立つ現象。
これらを最小限に留めるためには、注入量を減らします。
<下顔面・オトガイ>
◯ オススメの方
横から見た時、下唇から顎先にかけて、自然な凹みが無い方。
<その他> (図10・図11)
ふくらはぎを細くしたい方
首のシワが気になる方
ワキ・てのひら・足裏・頭部の汗が気になる方
マイクロボトックスとは (図12)
皮膚の浅い層にボトックスを細かく注射する方法です。ナチュラルな表情を保ちながらシワを改善でき、毛孔縮小・皮膚テキスチャーの改善、リフトアップを実感できます。また、毛孔にも作用するため、ニキビができにくい肌を作れます。
前額部、目尻、頬部に行うことができます。
ネックリフトとは (図13)
図に示すように、フェイスラインから頚部にかけて広頚筋という筋肉が存在します。この筋肉は、下に引っ張る作用があり、年齢と共に硬くなるため、たるみを進行させてしまいます。
つまりフェイスラインや首の皮内にボトックスを注入すると、フェイスラインの引き締めや首の浅い横じわの改善などを図ることができます。
効果としては、小顔・フェイスラインの引き締め・首のたるみや横じわ改善などです。
花粉症ボトックスとは?(図14)
鼻粘膜の神経の働きを抑制し、花粉症の症状を軽減させます。
方法には2通りあり、
①ボトックス液を鼻の孔に垂らす方法
②ボトックス液を含んだガーゼを鼻に詰める方法
どちらの方法でも即効性があるため、人気です。
花粉症の症状が出てからも治療が可能で、即効性があります。
鼻炎薬特有の、口や鼻の乾き感・眠気・だるさがでないため、日常生活に支障をきたす心配がありません。
また、内服薬のように、花粉飛散1カ月前から飲み始める必要がありません。
Q/A :
Q1 : エラボトックス(エラボト)を複数回打つと、効果が長続きするようになりますか?
A1 : エラボトで咬筋をシェイプアップした状態を保つと、身体はこの状態を記憶するようになるため、注射の頻度を減らすことができるようになります
▶︎効果が長続きするようになります!
Q2 : ボトックスの打ち方は決まっていますか?
A2 : もちろん、打ち方は様々です。
しわの寄り方、小じわの多さ、筋肉の硬さを見て、ボトックスの注入量を調整しています。
Q3 : ボトックス修正はできますか?
A3 : 効果が弱いor 左右差については追加ボトックス注入で対応します。効果が強すぎるトラブルについてはアセチルコリン塩化物注入で対応します。
Q4:普通にエラボトックスを打つ時、片側何単位打ちますか?また、例えば20単位2万の場合、片側or両側の料金ですか?
A4:通常、片側で20-25単位を打ちます。料金については、クリニックによると思います、直接お問い合わせください。
Q5 : 施術後、マッサージしても良いですか?
A5 : 施術後24時間は控えてください。これは、毒素が別の領域に広がってしまうのを防ぐためです。
Q6 : 目の下にボトックスを注入するデメリットとは?
A6 : 涙袋が小さくなること、笑った時の印象変化。目の下にボトックスを注入すると、眼輪筋に作用します。ボトックスの影響により、眼輪筋の膨らみによって出来た涙袋は、萎縮してしまいます。また、”笑う”という動作をした時、三日月の底辺が浅くなってしまいます。
Q7 : ボトックスは、毎回同じ先生に入れてもらうべきですか?
A7 : 予定が合う限り、同じドクターが望ましいですね。ボトックスは、注入する深さ・エリア・濃度・量により、敏感に左右されるためです。
Q8: ボトックス注入後の注意点教えて欲しいです。
A8 : 4つあります、箇条書きにしますね。
①注入部位のマッサージ禁止(1週間)
②サウナ・岩盤浴禁止(1週間)
③激しい運動禁止(1週間)
④避妊(3ヶ月)