キレイ : 脂肪吸引

この記事を編集した医師 : 保坂宗孝 |  最新アップデート 2023年4月10日

あなたは、ダイエット失敗した経験、ありませんか??


ダイエットでは、膨らんでいる浅い脂肪細胞を縮ませることは出来るのですが、変化の出る部位は限られてしまいます。


また、残念なことにリバウンドすると、ダイエットには反応しない深い脂肪が膨らみ、かえって目立つようになり、カラダのシルエットが崩れていってしまいます。


脂肪細胞を除去するには、脂肪吸引!

ただ一つの、欠かせないアイテムなのです。


このページでは、脂肪吸引について、詳しく解説させていただきます。

最後まで読んでくれたら嬉しいです。


<目次>


・脂肪吸引とは?

・脂肪細胞のお話

・何故、脂肪吸引が必要なのか?

・脂肪吸引術の流れとは?

・術後のケア

Q/A


● 脂肪吸引とは?


脂肪吸引とは、体のある部位に異常に蓄積した皮下にある脂肪細胞を取り除き、体のシルエットを整える施術です。

● 脂肪細胞のお話


脂肪細胞は、産まれた時には、限られた数しか存在しません。しかし、思春期までには200-300億個まで増加し、その後は増えずに一定数となります。


数は増えない代わりに、1つの細胞は約1000倍まで膨らむ能力を持つと言われています。


カラダに付いた脂肪は2つに大別され、それらが内臓脂肪と皮下脂肪。


脂肪吸引で注目されるのは皮下脂肪。

皮下脂肪も2つに小別され、それらが浅脂肪(Superficial Fat : SF) と深脂肪(Deep Fat : DF)。

それぞれの皮下脂肪には、以下の特徴があります。


SF:外胚葉由来、血流多い、ダイエット効果出やすい

DF:中胚葉由来、血流少ない、ダイエット効果出にくい


DFの存在するエリアは限られています。特に、”顔と胸には、DFは存在しないこと” を知ることが大切です。

● 何故、脂肪吸引が必要なのか?


「細いズボンが入るようになりたい』

「お腹のくびれを取り戻したい」

「半袖を着こなしたい」

という願い、ありませんか?


これらを叶えるためには、物理的な脂肪除去または脂肪壊死が必要になります。

しかし、脂肪壊死させるためには、相当な熱を何度も加える必要があるため、現実的な治療法とは言えません。


そこで活躍してくれるのが、  物理的な脂肪除去である脂肪吸引術なのです。

● 脂肪吸引術の流れとは?


①目的部位のデザイン


脂肪吸引を予定している部位を、等高線を用いて描きます。

術者は、仕上がりをイメージしてデザインします。

(図) 腹部正面の場合、赤線のようにデザイン
(図) 腹部正面の場合、赤線のようにデザイン


②麻酔

脂肪吸引するためには、ボーッとした状態を作り、痛みを取ること” が大切。

これを叶えてくれるのが、静脈麻酔+局所麻酔です。

(図)点滴から眠る薬を投与した後、ボーッとした状態で局所麻酔を撒いてしまいます。
(図)点滴から眠る薬を投与した後、ボーッとした状態で局所麻酔を撒いてしまいます。

 脂肪の吸引


DFエリアでは、大きい粒の脂肪をしっかりと吸引します。しかし、SFエリアでは、浅い層に存在する小さな粒の脂肪を慎重に吸引します。

カタチをみつつ、仕上げていくイメージです。


1つの吸引部位に対して、様々な方向から吸引します。これを criss crossing (クリスクロッシング)と呼びます。


このように面で吸引すると、均一に仕上げることが可能となります。


また、断面図でみると、脂肪層の中に網目状のトンネルができています。

(図) 左: criss crossing、右 : 脂肪層にできたトンネル
(図) 左: criss crossing、右 : 脂肪層にできたトンネル

 確認、創部縫合閉鎖、吸引部の圧迫

● 術後のケア

● Q/A 


Q1 : ヘモグロビン値が高いと、脂肪吸引を断られる理由って何ですか?

A1 : ヘモグロビン(Hb)とは、血液内の血色素量です。これが高いと、脱水症・多血症が疑われます。

さて、脂肪吸引術はカラダに多大なる負荷をかけるため、Hbの高値は静脈血栓症のリスクを上げてしまいます。

おそらく、リスクが勝ると判断された結果、お断りされたものと推測しました。


Q2 : 顎下脂肪吸引を考えているのですが、死亡事故も多いと目にします。死亡事故の大半は、血管の損傷によるものでしょうか?また、細い人よりも太い人の方が死亡事故の割合は高いのでしょうか?

A2 : まず、死亡事故の詳細については、警察でないので分かりません。

確かに、顎下脂肪吸引部位の周囲には顔面動静脈という太い血管は存在するため、吸引する層を間違えると出血のリスクはあります。

最後に1つ。太い方の方が、麻酔(静脈麻酔や全身麻酔)に対するリスクは上がります。



Q3 : 脂肪移植やヒアルロン酸注入で血管に注入してしまうと、失明すると見ました。しかし、注入していい部分がちゃんとあってそこに注入すれば失明しないのか、注入する部分が合っててもたまたま血管あって誤って注入してしまう場合があるのでしょうか?また、目視で細い血管あるか分かるのでしょうか?

A3 : 確かに、血管内に誤注入すると、眼動脈に入る結果、失明のリスクがあります。注入時、皮膚色調変化・痛みなどを観察しながら行い、血管内に入らないように充分注意します。

なお、目視では、浅い静脈は分かります。

Q4 : 脂肪吸引後のボコ付きが心配です。これは技術によるもの? 術後のケアによるもの?

A4 : ボコ付きは、主に、技術的なものだと思います。手術部位のデザイン・吸引時に手を当てた感覚で、ボコ付き予防します。部位によっては、ボコ付くリスクはあるため、しっかりと圧迫指導します。


Q5 : 全身を一気に脂肪吸引、出来ますか?

A5 : 1つの目安として、” 1回の脂肪吸引では、体重の5%脂肪量” というのがあります。体重50kgの場合、脂肪量2.5Lとなりますね。

全身を希望される場合、結果をしっかり出すためには、分割して吸引することをオススメします。分割方法は、患者さんの予定・ライフスタイルを最優先に、一緒に考えています。


Q6 : 脂肪吸引に適した季節・タイミングは?

A6 : 「やりたいと思った時に、やる!」がベストですが、答えになっていませんよね。

術後の圧迫を考えると、涼しくなる秋頃がよいのかもです。また、ダイエット(運動・食事・飲み薬etc)を頑張ったけど痩せずに悩んでる方に向いてるでしょう。


Q7 : 終わった後、血栓が出来やすいと聞きました。どんな感じでしょうか?

A7 : 結論から言うと、血栓についての心配は不要。理由として、脂肪吸引術は短時間で終わる上、術後早期から歩くことができるからです。また、脂肪吸引により血栓のできる心配は無いです。


Q8 : 二の腕脂肪吸引のダウンタイムは?

A8 : 手術翌日が、最も内出血の目立つ時期。術後2週間以内には、通常、内出血は消えます。筋肉痛の様な痛みについても、同じ様なイメージとなります。


Q9 : 顔脂肪吸引後の圧迫、どうしたらいい?

A9 : ホホアゴを一括で圧迫できる、フェイスバンドをオススメしてます。術後1週間は極力長くしてくれると、むくみ・内出血に効果的です。


Q10 : 顔の脂肪吸引後、凹んだ筋が目立つようになりました。コレって改善できますか?

A10 : 部分的に、過剰に脂肪を吸われたことによる、  陥没変形でしょう。改善法として、ヒアルロン酸or脂肪注入があります。皮下組織が薄い状態のため、脂肪注入の方がナチュラルに仕上がるとは思います。


Q11 : 僕の胸、ふっくらしてきて恥ずかしいんです。女性だったら、いいのですが。どうにか出来ませんか?

A11 : “ふっくら” の正体を把握することが大切。

気になる正体とは、乳腺や脂肪のいづれか。

詳しくは、超音波またはCTを用いると、正確に判定できることが可能です。

治療法は、脂肪吸引または乳腺組織切除、もしくは両方となります。


Q12: 脂肪吸引に適した季節ってありますか?

A12 : ボディ吸引後3カ月は、吸引部の圧迫が望ましいです。圧迫するということは、密着した薄着を着るようなものなので、蒸れる原因となります。また、吸引部は浮腫をおこすため、その付近は皮膚トラブルが起きやすくなります。

つまり、ジメジメした季節だと、皮膚炎などを生じるリスクが上がってしまいます。10月から3月が最適でしょう。ただ、個人の都合もあるでしょうから、その限りではありませんよ。どの季節に吸引しても、結果は大きく変わりませんので安心して下さい。


Q13 : 脂肪吸引すると、体脂肪率は変わるの?

A13 : 体脂肪率とは、身体の中で脂肪が占める割合のこと。脂肪には、内臓脂肪だけでなく皮下脂肪も含まれます。

つまり、体脂肪率とは、体脂肪量➗体重✖️100で計算できます。

脂肪吸引では、皮下脂肪を吸引します。 計算式的には、体脂肪率にも変化出てくる筈ですね。


Q14 : ホホアゴの脂肪吸引で、変化出ない症例って、どのくらいですか?

A14 : ホホアゴ症例では、直後の大きな変化は分かり難いかもです。顔には深い脂肪が無く、つまり浅い脂肪エリアです。吸いすぎると悪い意味で変化してしまい、修正地獄に陥ります。

吸引部にはコラーゲン繊維が発育して、将来的なタルミ予防となります。

特に、横から見た時の、アゴ下部のタルミが気になる方には良い適応だと考えています。

経過に関しては、長い目で見てもらえると嬉しいです。